『ミライの源氏物語』ようやっと読了。
そんなに量無いはずなのに何ヶ月かかっただろう。眠る前に少しずつ読んでいた。
山崎ナオコーラさんの文は、すっと入ってきて理解しやすくてとても読みやすい。以前から好きな作家さん。
源氏物語に触れたのは学生時代くらいで、正直どんな話か記憶もなく、まっさらな状態で読んだ。(ラジオで少し前情報聴いたくらい)
この本を読んでみて、ナオコーラさんの客観的で冷静な視点、でもしっかりと愛があるところがやっぱり好きだなと改めて感じた。文に静かな温もりを感じる。
現代人の目線から見て『源氏物語』がこんなにもひどいことが多いとは…(ひとりで読んでいたらこんなに敏感な解釈できてないだろうけど)と驚いたけど、ただ「ひどいな…!」と思うだけじゃなくて、どの時代にも特有の社会規範があるという認識を持って文学作品を楽しむのがよいのだろうな。「文学は、旅」だから。
明確な答えを求めるんじゃなくて、現代人から見ると「これ、モヤッとするなぁ…」ということに気づくだけでもよいことのように思う。
自分の中に根付いてる固定観念や差別感情を無くしたいけど無くすのは難しい。
無くせなくてもその存在に気づいたり、気をつけようと思ったり、違う世代の考えを知ってその違いを受け止めようとしたり…
見過ごすんじゃなくて、いちいち引っかかりながら生きていけたらなと思う。
だから、山崎ナオコーラさんや武田砂鉄さんの本読みたくなるのだろう。(ラジオ聴いてるんだろう。)
この本の最後の方で出てくる「浮舟」のところ、印象深かった。
浮舟は、母親や女房たちに縁取られ、(光源氏の子ども)薫に「形代」のようにして愛され(これを「愛されている」というのは適してないかもしれないけど)、匂宮からは性暴力を受け、入水自殺を図った。
入水は失敗し、生き続けた浮舟は、ひとり自分の頭で考え、自分自身の心で出家を決めた。
受身型として描かれたヒロインがそのような道を歩み、「ヒロイン」として成功はしていないのだろうけど、浮舟の「主体性」が現れたラストで、私には希望のようなものを感じた。
出家後の浮舟、どうか幸せであってほしい。
他の人から見てそう見えなくても、本人が幸せだったり、心豊かになってたらそれが一番なのだと思う。
それぞれの幸せのかたちがある。
拙い感想(感想にもなってないかも)だけど、書き留めておく。